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ドロドロは危険! 血液のおはなし

目次

  • 血液には、どんな役割が?
  • サラサラ血液って何?
  • どうして流れが悪くなるの?
  • 流れが悪くなる本当の理由
  • 動脈硬化が引き金となる心臓の病気
  • 動脈硬化を予防する

血液には、どんな役割が?

血液中には、90%が水分でできている液体成分の血しょうと、赤血球、白血球、血小板などの固形の成分とが含まれています。  血しょうには、ブドウ糖などの栄養素はじめ、ホルモン、イオン、二酸化炭素や尿素などが溶け込んでいて、それぞれを必要なところにまで運んでいます。
赤血球に詰め込まれているヘモグロビンは、肺に入ってきた酸素を体内に運ぶ酸素の運搬役をつとめます。血が赤く見えるのは、この赤血球の色素によります。
白血球の役割は、免疫の働きをすることです。白血球には体内に入ってきた細菌を食べる好中球、寄生虫の退治やアレルギーに反応する好酸球、リンパ球などの種類があり、細菌をやっつけて感染を防ぎます。からだを守るガードマンなのです。
血小板は、止血の役割をしています。出血をしているところに張りつき、血液を固まらせることで血管を修復しているのです。  血液の働きをまとめると次のようになります。
●酸素や二酸化炭素を運ぶ
●栄養素を運ぶ
●免疫の働きをする
●止血する

また、筋肉などで作られた熱は血液に吸収されて運ばれ、皮膚を流れるときに放出することで体温を一定に保っています。これも血液の仕事で、私たちが生きていくために必要なたくさんの役割を果たしながら、体内を駆け巡っているのです。

サラサラ血液って何?



テレビや雑誌などで、血液を「サラサラ血液」というキャッチーな言葉を表現しているのを見たことがあると思います。流れが良く、脂などでドロッとしていない感じが上手に表現されていますが、これは医学用語ではありません。「血液をサラサラにする薬」と言うことはありますが、それは血栓(血のかたまり)を予防するための抗凝固薬のことで、テレビで言うところの「サラサラ」とは違った意味で使っているのです。「サラサラ血液」というのは、人工の毛細血管モデルの観測機器を使った実験でスムーズに流れる血液をさし、円滑に流れないものを「ドロドロ血液」と呼んだことに由来したもので、NHKの「ためしてガッテン」が流行の火付け役と言われています。

どうして流れが悪くなるの?

人工の毛細血管モデルの実験で、流れが悪くなり、「ドロドロ」と表現された血液は、次のようになっていました。
●赤血球が硬くなる
赤血球は真ん中をへこませた円盤型になっていますが、弾力性があって変形することができ、細い血管のところは細長いカタチとなって流れていきます。しかし、古くなったり傷んだりすると、表面の膜が硬くなり変形の能力が落ち、流れにくくなってしまいます。また熱中症などで脱水状態になると、血液の液体成分が減って赤血球が増加し、流れにくくなります。

●白血球がひっつきやすくなる
免疫の働きをする白血球は、炎症反応があると粘着する能力を高め、その部分にペタッと張りついて治します。くっついた白血球が血管を狭くし、血液の流れが悪くなるのです。

●血小板が集まって固まる
血管にキズがあって出血していると、そこの部分に血小板が集まって、塊となり、流れが悪くなります。
血液の流れの悪い方は、血糖値が高い方、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、脂質異常などの患者さんなどに多く見られます。

流れが悪くなる本当の理由

コレステロールの約3割は食事から、残りの7割りほどは肝臓で作られています。正常であればコレステロールを一定量に調整する機能が働くため、食事で多くのコレステロールを摂ると、体内で作る量を減らすようにできています。
コレステロールには、LDL(悪玉コレステロール)とHDL(善玉コレステロール)の2つがあります。LDLはコレステロールの運搬役で、血液中のタンパクに包まれて(リポタンパクと言います)全身に運ばれていきます。HDLはコレステロールの回収役で、使われずに血液に残ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。

 

 

 

 

 

しかし、食事から摂り過ぎたり使われなかった量が多くなると、肝臓で処理することができず、血液中に残ってしまうのです。数が増えすぎて行き場を失ったLDLは、動脈の壁にもぐり込み、酸化酵素により酸化LDLという異物に変化します。すると、異物を退治する役目の白血球が、マクロファージという大食いの細胞に姿を変え、血管の壁に潜むLDLをパクパクと食べて、泡のような細胞に変化します。これらが血管の壁に蓄積し、コブのように盛り上がって血管の中を狭くしてしまうのです。このようにして血管内が狭くなる状態が、動脈硬化です。



コレステロールが多くなる原因は、遺伝による場合もありますが、多くは生活習慣によるものです。食事の欧米化により脂分が多くなりがちですし、ジャンクフードも脂質異常の原因となります。
動脈硬化は年齢とともにおこることですが、血管の壁にストレスを与える高血圧、コレステロールや中性脂肪を高める糖尿病、高脂血症も動脈硬化の引き金となります。
喫煙も動脈硬化のリスクファクターです。肺から血中に入ったニコチンや一酸化炭素が原因ですが、たばこを吸うことにより動脈硬化になる可能性は3倍にもなることが分かっています。

動脈硬化が引き金となる心臓の病気

全身に血液を送るポンプ役である心臓の表面には、冠動脈という血管が覆うように走っていて、心臓の細胞に酸素や栄養を運んでいます。この冠動脈にコレステロールがたまって動脈硬化が進むのが狭心症です。血管の内側が狭くなってしまって血液の流れが悪くなり、心臓が酸欠状態となります。数分程度の締め付けるような胸の痛みが特徴的ですが、人によっては奥歯や肩が痛くなったり、腕がだるくなったりします。



狭くなった血管に血栓(血液のかたまり)ができ、それが進行して血液の流れが止まってしまうと心臓に酸素が届かなくなります。これにより心筋の細胞が死んでしまう病気が、心筋梗塞です。左胸のあたりを中心に、非常に強い圧迫感や激しい痛みが起こり、人によっては肩や背中、首などに痛みを感じることもあります。冷や汗や吐き気をともなうことも少なくありません。手当てが早いほど治癒する確率も高いので、我慢せずにすぐに病院に行きましょう。狭心症を放っておくと、心筋梗塞に進行します。

動脈硬化を予防する

動脈硬化が始まっている状態で来られる患者さんが多く、今以上に進行しないように食事や運動について、次のようなお話をしています。もちろん、健康な方の予防にもつながると思います。
●カロリーは控えめに
年齢にもよりますが、成人男子の方なら1800㎈、場合によっては1600㎈を目安にするようにしてください。退職された方であれば、1日のエネルギー消費は少ないでしょうし、その年齢であれば基礎代謝も多くはありません。摂取カロリーが消費エネルギーを超えないようにすることがポイントです。肥満は動脈硬化の原因の一つ。ダイエットを心がけましょう。

●コレステロールを摂りすぎないように
コレステロールが問題なのですから、もちろん少なめの食事にする方がいいでしょう。しかし、コレステロールは身体にとって必要なものですし、食事で減らしても動脈硬化の進行をストップするのには限界があることも事実です。
●質の良い脂肪酸を摂ることが大切
脂肪酸は、エネルギー源として大切な栄養素のひとつで、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。ラードやバターなど肉類の脂肪や乳製品の脂肪に多く含まれるのが飽和脂肪酸で、からだの中で固まりやすく中性脂肪やコレステロールを増加させる作用があるため、控えめにしておいた方がいいでしょう。不飽和脂肪酸には、一価と多価の2種類があります。一価不飽和脂肪酸の代表がオリーブオイルに含まれるオレイン酸で、動脈硬化の原因となるLDLを減らす性質があります。多価不飽和脂肪酸の代表はEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)で、魚の油に多く含まれています。この脂肪酸は中性脂肪や減らし、HDLを増やすなど動脈硬化を予防する働きがあります。不飽和脂肪酸の中にはトランス脂肪酸というものもありますが、摂りすぎによりLDLが増え、心臓病の原因となることがほぼ確実といわれています。

●野菜、フルーツ、そしてナッツ類
動脈硬化によいとされる栄養素は、身体の中のナトリウムを排出してくれる食物繊維やカリウム、血管の収縮を抑えるそのマグネシウム、その働きを助けるカルシウム、抗酸化作用のあるβーカロチンやビタミンCなどがあげられます。今注目のナッツ類もおすすめです。

●糖質
主食には玄米や雑穀米などを、パンなら全粒粉のもののほうが血糖値はあがりません。穀物類を食べる前に、サラダなど野菜を先に食べると血糖値の上昇を抑えられますし満腹感がでますから,カロリーを控えめにするためにもいいかもしれません。
●運動
有酸素運動がおすすめです。早歩きのウォーキングを1日30分以上、週に4回ほどしていただければと思います。食事だけではカロリーを減らしにくいので、運動によって脂肪を燃焼させ、体重を増やさないようにコントロールしてください。

 

●タバコ
百害あって一利なしです。やめましょう。
食事と運動、そしてノンストレスの生活で、動脈硬化を予防してください。

取材にお答えくださった坂本 裕樹先生

静岡県立総合病院 循環器センター長
循環器内科部長
〒420-0881 静岡県静岡市葵区北安東4丁目27
電話: 054-247-6111