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こどもの発疹

今月の先生:目黒 敬章先生

静岡県立こども病院
免疫アレルギー科 医長

はじめに…

 こどもがかかる病気の大半が感染症ですが、なかでもウイルス感染症は特徴的な発疹を伴うものが多くあります。また、感染症以外でも発疹を認める病気もあります。今回は、そのような発疹を伴う病気についてお話します。

手足口病

 いわゆる「夏かぜ」の一種で、「コクサッキーウイルス」または「エンテロウイルス71型」の感染によって発症します。手のひら、足の裏などに2~3㎜程度の赤い発疹あるいは水疱(水ぶくれ)ができ、口内炎ができることも多いです。熱は出ない場合も多く、出たとしても通常2~3日で下がります。ウイルスは長期間(発症から約1ヶ月)便中に排泄されるので急性期のみの隔離は意味がなく、予防には排せつ物の適切な処理と手洗いが重要です。特別な治療法はありませんが、通常は自然に治ります。まれに髄膜炎、脳炎や麻痺などの神経症状や心筋炎などを起こすことがありますので、強い頭痛や嘔吐が続くとき、ぐったりしているときなどは医療機関を受診しましょう。

伝染性紅斑(りんご病)

 「パルボウイルスB19」による感染症です。軽いかぜのような症状の約1~2週間後に、頬に境界鮮明な赤い発疹と手・足に網目状の発疹が出現します。発疹が出ているときにはすでに治りかけでの状態であり感染力はなくなっているので、学校などを休ませる必要はありません。重度の合併症はまれですが、溶結性貧血の方や妊婦さんに感染した場合、貧血の急激な悪化、胎児死亡などの原因となりうるので注意が必要です。

突発性発疹症

 「ヒトヘルペスウイルス6型/7型」による感染症です。一般的には乳児期に初感染し、ウイルスは一生体内に潜伏します。高熱が3日間持続し、解熱と前後して全身に赤い発疹が現れ、3~4日で消えていきます。熱性けいれんの合併率が高いのが特徴ですが、まれに脳症などをきたす場合もあります。長く続くけいれんや、けいれんを2回以上反復する場合には、医療機関を受診しましょう。

麻疹(はしか)

 麻疹は予防接種の普及により日本国内からは排除されましたが、感染力が強い(空気感染します)ため海外から持ち込まれて小規模な流行が起きることがあります。最初に38℃前後の発熱と咳、鼻水といったかぜのような症状が3~4日続き、いったん解熱傾向となった後、39℃台の高熱となり、全身に鮮やかな赤い発疹が出現します。

 



発疹は次第に暗赤色となり、色素沈着を残して消退傾向するとともに3~4日で解熱します。合併症としては肺炎が多いですが、特別な合併症を伴わなくても脱水症状などで入院を要することがよくあります。麻疹そのものに対する特別な治療法はなく、肺炎や脱水症などの合併症に対する治療が中心となります。幸い予防接種で予防可能な病気なので、必ずスケジュール通りに接種するようにしましょう。

風疹

 三日ばしかともいい、発熱、発疹、リンパ節の腫れ(耳介後部、後頭部、頚部)の3つが主要症状とされています。発疹は麻疹に似ていますが、高熱が出ることは比較的少ないです。合併症としては関節痛がしばしば見られますが、まれに血小板減少症や脳症などをきたすこともあります。特別な治療方法はありませんが、一般に重症化することは少ない病気です。  最大の問題は妊婦さんに感染すると、いろいろな先天異常を持つ先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる原因となってしまうことです。この病気も予防接種がありますので、必ず受けるようにしましょう。

水痘(水ぼうそう)

 全身に水疱ができるのが特徴です。発熱はないか、あっても2~3日です。麻疹と並んで空気感染する代表的な病気の一つで、感染力が比較的強いのが特徴です。無治療でもほとんどの人が自然治癒し、水疱がすべてがかさぶたになれば感染力はなくなったと考えます。



 治った後もウイルスは一生神経の中に潜伏し、抵抗力が落ちたときなどに帯状に水疱を作ることがあり、これを帯状疱疹といいます。帯状疱疹は神経痛を伴うのが特徴で、治った後も痛みが持続することもしばしばあります。水痘の合併症としては肺炎や髄膜炎、脳炎などがあり、0歳の赤ちゃんや15歳以上の方で頻度が高くなるとされています。治療薬として「アシクロビル」という薬がありますが、病気や薬などによって抵抗力が落ちている人に必要な治療であり、健康な方には必ずしも使用する必要はありません。予防接種で予防可能な病気で、帯状疱疹を予防することにもつながりますので、必ず受けるようにしましょう。

川崎病

 5日以上続く発熱、目や唇の赤み、頚部リンパ節の腫れ、手足の赤み・腫れ、不定形な赤い発疹を特徴とする病気です。全身の血管が炎症を起こす病気で原因は不明ですが、放置すると心筋を養う冠動脈にこぶができたり狭くなったりしてしまいます。治療には「ガンマグロブリン」という血液製剤を使います。上記の症状があるときはかならず医療機関を受診してください。

じんましん

 虫刺されのような盛り上がった発疹です。食物などのアレルギーが原因の場合もありますが、多くは原因不明です。特に原因がないのに数か月にわたってじんましんが出没する慢性じんましんや、温度や圧迫などの物理的な刺激によってできる特殊なタイプのものもあります。治療には抗ヒスタミン薬を使用します。